歳時記 | 【公式】ホテル風の薫UMI

菊の節句と秋のお料理

2020/09/09

 

9月になると、伊東では涼しい風が吹くようになりましたが、
海の上にはまだ時折、入道雲がかかるこの頃。
しかし、お皿の上では秋の景色が広がっております。
秋の献立がはじまりましたが、皆さま、お召し上がりになりましたでしょうか。
この度は、小さな一品として煮物のご紹介をさせていただきます。
菊の花を散らした蟹の飛竜頭をご用意致しております。

飛竜頭は、お豆腐をベースに丸く形作られたお料理で、
関東ではがんもどき、関西ではひりょうず、ひろうす、とも呼ばれています。
ポルトガルにはフィリョースという小麦粉をこねた丸いお菓子があり、
そこからこの名前がついたと言われています。
日本へは鉄砲の伝来と近しく、戦国時代にフィリョースがもたらされました。
江戸時代には小麦粉の代わりにもち米と糖蜜で、これに似せたお菓子がつくられ、
その後に発展して、この料理が作られたと言われています。

秋といえば、重陽の節句。
菊は重陽の花として大切な花ですよね。
重陽の節句は9月9日。本来は旧暦の9月に行われました。
中国から伝来し、平安貴族の間で定着したこちらのお祝いは、
奇数の月日が重なると縁起が良いことから、その時に合わせ、
菊酒を飲み、菊のお料理をいただくなど、
菊の薬効にあやかる大切な行事として守られてきました。

この度の秋のお料理にも、飛竜頭に菊花が散らされて、お色目も美しく
あったかくて美味しい一品でございます。
風の薫の秋のお料理、ぜひ一度お召し上がりくださいませ。
皆様のお帰りを、心よりお待ち申し上げております。